*Trick or Treat
―それは地上での出来事… ** 『ハロウィンパーティー!?』 テリアが住む家に集まった三人は、口をそろえておうむ返しをした。 「そ、去年もやったでしょ?それを今年もやるんだって。一週間後だけど、みんなで出ようよ」 「でも俺、去年パーティーに出てないし…。それに仮装しなきゃだろ?」 シャインはお祭りごとにさほど興味はない。 まして、ハロウィンなど、参加するものは全員何かの仮装をしなければならない。 お祭りに行くのはいいが、その仮装をする、というのが彼は嫌なようだ。 「みんな仮装してるから恥ずかしいなんて思わないぜ。 オレさ、去年は怪我してたから、さらに包帯を体に巻いてミイラ男で出たぜ」 フェイトは大のお祭り好き。 怪我をしていようがそんなことは関係なくお祭りに参加している。 去年のハロウィンの時は、右足骨折をしていた。 ミイラ男になったのは名案だが、本当に怪我をしているとはみんな思わず、右足を散々いじられ 治るのが遅くなったというエピソードがある。 蛇足だが…。 「私はお店の手伝いをやっていて参加しませんでした。でも、ハロウィンだからって魔女の格好をしましたけど…」 ブリーズの家はケーキ屋を経営している。 今年はお手伝いさんがたくさん来るということで、手伝わなくてもいいそうだ。 「で、テリアがハロウィンに出たいのはなんでだ?」 「実はねシャイン、今年は、素敵な演出をした人には金一封が出るっていう大会があるの♪ グループ参加も可能だからみんなで出たいなって思って」 「金一封か…」 「フェイトさん、顔がにやけすぎ…。でもテリア、その演出って何か考えがあるの?」 「まぁね☆とりあえず、着る衣装を決めないとね」 ** 「シャインはその片翼を生かして…こんな感じかな?テーマは“傷ついた天使”」 「おー、似合ってるぞ。いや待て、髪をこうワックスで動きを…よし!完璧だ!!」 「あっ、ここをもっとこう…」 それぞれの家から持ってきた服や飾りを使って、さっそく作業が始まった。 最初はシャインから。 今のシャインはまさに三人のおもちゃとなっている。 当のシャインは、もうどうにでもして下さい状態になり何も文句を言わない。 何とも諦めが早い。 と言っても、このメンバーでは何を言っても無駄なのだが。 なんだかんだ言いつつ、シャインから三人が離れる。 どうやら終わったようだ。 白と黒を中心にまとめられている。 黒の五分そでに、手には黒の皮製手袋。黒の長ズボンにブーツ。 “傷ついた天使”ということで、首や手足、とにかく体中に包帯が巻かれている。 背中には本物の羽があるということで、所々に羽をつけている。 ちなみにそれは作り物の羽。念のため。 装飾には十字架を使っていて、なかなか似合っている。 「これでオッケーだね」 「なんつーか・・・動きづらいな・・・」 「まぁ、あくまで衣装だからしょうがないだろ」 「と、いうことで、じゃあ次はフェイトね」 「どんなのがいいでしょうか?」 「そうだな…シャインが天使できたから、オレは魔族、とか」 「いいね、それでいこう!黒を中心に翼とマント…かな?」 「シャインさんが“傷ついた天使”なので、こっちも戦いましたって感じがいいと思うけど…」 「だな。腕とか足とか微妙に肌を出してみるか。シャインは何か意見あるか?」 三人のノリについていけなかったシャインは、いきなり声をかけられ少し戸惑う。 「え?……全身が黒を中心だから、銀とか赤を使った装飾品を使う…とか…」 「装飾品…何がいいでしょうか?」 「そうだ、鎖!銀色だし、体のいろんな所につけられていいかも!」 「鎖か〜いいな、それ。鎖は…あ、あった」 集まった服や装飾品、その他の素材の中から、大きさや形の違う鎖を引っ張り出す。 ……誰が鎖なんて持ってきたのだろうか? フェイトは試行錯誤しつつ鎖をいじくり、冷たい音を響かせる。 ** そして数分の後に仕上がった。 「完成…っと。どうだ、“戦った魔族”みたいに見えるか?」 「OK!本物の魔族…には仮装だから見えないけど、けっこういい感じだよ」 黒の半そでに長ズボン。 所々破れたり切れたりして肌が見えている。 手には指だけが出ている手袋。首や腰、手や足など体中には、大きさや長さが違う鎖が巻き付いている。 フェイトが凝ったところは後ろに長く垂れている鎖。 それを強調したくてマントは止めたようだ。 ドクロのアクセもついている。 「じゃ、次はブリーズか?」 「天使、魔族ときたから獣人族だね。耳と尻尾をつけよう!」 「耳と尻尾…とくれば服はメイドふ…」 『黙れ!!』 「ぐふっっ!!」 シャインとテリアのダブル攻撃がフェイトに炸裂した。 「その世界に入っちゃダメだからね。動物はそうだな…何がいいだろう?」 倒れたまま動かないフェイトを背に、残り二人の衣装を相談する。 「って思ったけど、ブリーズが獣人族で…テリアはどうするんだ?」 天使、魔族、獣人族、あとは人間と混血児がいるが、仮装をするにはテーマが難しい。 三人とも種族関係の衣装なので似たようなテーマにしたいのだが・・・。 「そういえば…。あ!じゃあブリーズと2人で獣人族をやろうか!」 「そうだね!動物は猫とかは?ハロウィン→魔女→猫ってイメージだし」 「よし、それでいこう。じゃあ着替えてくるから待っててね」 山積みとなっている衣装や小物の中からいくつか選び、二人は隣の部屋へと入っていった。 ――そして三十分経過―― 「……長いな」 「女の身支度は長いもんだから」 「あ、生きてた」 「そんな言い方するなよ…。全く…少しは手が減してくれよ…。あー、体痛ぇ…」 「テーマが“戦った魔族”なんだからちょうどよかっただろ?」 「でもなー…」 ―ガチャ― と、部屋のドアが開き、仮装をした2人が戻ってきた。 「じゃーん!完成!」 二人とも頭にはネコ耳、後ろには長い尻尾が揺れている。 テリアは全体的に黒と赤を中心にまとめている。 スリットの入った黒のロングスカート。 赤のノースリーブと二の腕までの手袋。 また、あちこちにベルトを使い、スカートのスリット、ノースリーブと手袋をつなでいる。 他にもアクセントとして所々に使っている。 肩からは黒の小さなマントが揺れて、魔女のようにも見える。 ブリーズは黒とオレンジ色を身にまとっている。 フリルのついた黒のミニスカート。 オレンジ色のタートルネックの長そで。 膝までのロングブーツ。 また、オレンジ色のリボンを首や足、頭にも巻いている。 胸元には黒の大きなリボンが揺れている。 「おー、さすがに華があるなー」 「やーっと準備できたか…」 「それで、テリアが考えた演出って?」 「それはね…」 ** そして一週間後の夜。 町には魔法の光が溢れ、盛大なハロウィンパーティーが幕開けした。 人々は皆仮装をし、子どもはかごを持ち“トリック オア トリート!”と叫んでいる。 仮装の種類は実に様々。 定番な魔女はもちろんのこと、お化け類や天使、魔族、獣人族が多い。 その中には本物の天使やらもいると思うが…。 他にも、ピエロや何か物を表現している者がいる。 全て挙げたらキリがない。 テリアの言っていた“素敵な演出”をする所は、この町の広場。 その会場に集まった人が審査員となり、一番高得点の者が優勝、となる訳である。 シャイン達は二十組いる参加者の一番最後となった。 最初はもっと参加者がいたのだが、多すぎるので役員らが振るいにかけ少なくしたのだ。 「一番最後か…緊張するな…」 「大丈夫だよ。最後なら一番強く印象に残るし」 「でもうまくいくのか?」 「心配すんなって!シャイン、魔法は得意分野だし。あれだけ練習したから大丈夫だって」 そんな話をしている中、夜空に咲く大きな花火を合図に、とうとう大会が始まった。 参加者は皆、次々と考えた演出を披露していく。 用意した大量のカボチャを一瞬でパンプキンパイにする者。 魔法で花火を打ち上げ失敗する者。 当たりつきのお菓子を配り、当たりの人には商品を出す者。 中でも審査員達の目を引いたのは、魔法で空を飛び、空中舞踊をする者達。 メンバーは全員美男美女だからか、一番好評のようだ。 ** そしてとうとうシャイン達の出番となり、拍手が飛ぶステージへと躍り出た。 「それじゃ、手はず通りにね!」 舞台に出たシャイン達の手には大量のお菓子が入ったかご。 まずはシャインが何やら呪文を唱える。 準備が出来た、と目で合図を送り、みんな同時に頷く。 「いくよ!せーの!!」 テリアの掛け声と共に持っていたお菓子を一斉に宙に投げ、そこにシャインの魔法が放たれる。 シャインが放ったのは風の魔法。 お菓子が風に乗り、審査員の頭上へと運ばれる。 その間にテリアは呪文を唱え、フェイトとブリーズは風船を手に持つ。 テリアの呪文が完成し、再び合図を送る。 シャインは魔法をコントロールしてお菓子を下げ、 テリアは小さな明かりをいくつも放って光の雪を降らせ、幻想的な雰囲気をかもし出す。 この時、魔法の光がより綺麗にみえるように、会場のライトの光を弱くしてもらってある。 会場からは歓喜の声が溢れ、夜空から降ってきたお菓子を手にする。 しかしまだ終わりではない。 フェイトとブリーズは魔法がかかっている風船を投げた。 タイミングをみて、フェイトが指をパチン、と鳴らした。 その途端に風船は割れ、中からキラキラしたものがいくつも飛び散る。 魔法で作り出したものなので、ゆっくりと降り注ぎ、みんなの手元へと運ばれてくる。 すると突然、ポンッと小さな音を立て、あるいは花に、あるいはぬいぐるみ、あるいはお菓子へと姿を変えた。 「わー、可愛い!ハロウィンの格好をした猫のぬいぐるみだ!」 「私はちいさな花束!」 「チョコーーーvv」 それぞれの手元にいった物は一人一人違っている。様子を見ると、なかなか好評のようだ。 「やった!大成功かな?」 「けっこういい感じみたい!」 「準備するのに苦労したしな。成功してよかったよ・・」 「優勝間違いなしだな!」 花にぬいぐるみにお菓子。 短い期間でよく集められたものだ。眠る時間などほとんどなかっただろう。 しかしみんな、やると決めたことは最後まで!という性格をしていたので、一生懸命やり遂げた。 そしてフェイトの言うとおり、テリアが考えた演出はとても好評で、見事優勝。 金一封を手に入れたのでした。 「最後に、定番のあのセリフを言いましょうか」 「オレらはあげた方なんだけどな」 「ま、決まり文句ってことで」 「だね。せーの…」 『トリック オア トリート!』 テリアが放った魔法の光が、夜空の星と共に輝き続け、幕は閉じられました。 その後、金一封を手に入れた彼らは、夜中までお菓子パーティーと称した宴会をしたのでした。 fin・・・ |
あとがき
この作品は、文化祭用に作ったものを微妙に修正したものです。
説明書きがあまりなくてすいません・・・
時間がなかった、と理由をさせていただきます(苦笑)
ところで、この小説を読んだそこのアナタ!
『トリック オア トリート!』
・・・意味分かりますよね?
待ってます(笑)