町の中心からそう遠くない距離だからって、郊外は郊外。ここまで来ると人もまばらだ。


エリエと別れて、今は一人で歩いている。


家々からは夕食を告げる匂いが漂い、煙突からは白い煙が空に消える。



・・・そうだ、夕飯何にしよう。


長い間一人暮らしをしていたから、料理の腕前もそこそこ。

そういえば、ウェイスの家からは毎日のように黒い煙が出てるっけ。




『黒』




その言葉に反応するかのように、ソレは現れた。






暗くて深い闇。

そして、それを包む黒い翼。




あれは・・・っ!








「魔族か!?」





暗い闇とそいつが身につけている物のせいで性別は判断できないが、あの黒い翼は『魔族』の証!


しかし、なぜここに・・・




辺りを支配する静寂。






そして間もなく、悲鳴と共に困惑と恐怖が騒ぎ出す!


人々の声が行き交い、誰が何を言ってるのか分からない中、なぜか俺にはそいつの声が聞こえた。






始まり≠ニ―








それを合図に俺の周りに闇が現れた!




「・・・なっ・・・!?」








俺は、動けなかった。































明け方近くまで仕事をしていたせいで、起きた時はゆうに半日を過ぎていた。



・・・ちょっと寝すぎたな、これじゃシャインのこと笑えないな。



そう思って体を起こし、机の上の様々な物に目を向ける。


彼、ウェイスは魔法剣や魔法装備を製造する仕事をしている。

机の上には、よく見ると机の周りにも鉄や魔法石が散らばっている。

それは西日により輝きを増し、彼の目を覚ます。


と、窓の隙間から漂ってきた匂いに、自分の腹が反応する。




「・・・腹・・・減ったな・・・」



あまりの空腹に、思わず口からその言葉がでた。

何か作るにしても料理の腕前は最悪。

毎日のように黒い煙が充満していた。


簡単食料は売っているが、オレは嫌いだから食べない。


結果、手作りするしかない。



シャインは料理できるからいいよな・・・

作ってもらいたいけど、自分のことは自分でするって決めたからな。




とりあえず冷蔵庫の中身を確認しよう、そう思った直後にかすかに人の声が聞こえた。

ただの人の声ではない。あれは悲鳴に違いない。

それに闇の気配も感じられる。


あの方向には図書館がある。

二人とも今日は図書館に行くようなこと言ってた・・・何もないといいのだが・・・



「嫌な予感がする」



オレは、外へ走り出した。

























家に着いても、胸の鼓動は収まらなかった。

鏡に映るのは金色に輝く髪とエメラルドの瞳。そして赤くなった頬。



「・・・///シャインに気づかれちゃったかな。こんなに顔が赤くなって・・・」



あの日シャインに課題を手伝ってもらった日から、急に意識している自分がいる。




数年前、幼馴染であるウェイスの隣にいた片翼の天使、それがシャインだった。

何年も前から天空にいるっていうのは知っていたけど、会ったのはその時が初めてだった。

本当は天使じゃなくて『ディプリシティ』だって聞いたけど、そんな事はどうでもよかった。

好きって言う気持ちは変わらないから。気づくと好きになっていたから。


話す機会はたくさんあった。

学校は同じ魔法専攻だったし、進路が違っても図書館に行けば会えた。

私がいるさらに上の魔法学校に、『All Rounder』で働いているシャインが助手として来たこともあった。



私の脳裏に、シャインのあの優しい笑顔が浮かぶ。


うん・・・明日シャインに伝えよう。

ずっと想い続けた、この気持ちを・・・


その時、いくつもの悲鳴と共に強力な闇の気配が現れた!






あの方向は・・・!






「シャイン・・・っ!!」








私は、外へと飛び出した。













あとがき
今回は3人の行動を一まとめにしてみました。
そして、とうとう魔族が出てきましたね。シャインは大丈夫でしょうか・・・?
愛しのエリエが待ってるんだから負けるんじゃないよ(コラ)
最近、全体的に展開が早い気がして冷や汗ばかりかいてます。

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