*スタート*
それは彼が10歳の時に習い始めた。 「手はこの方がいいかな・・・・構えはもっとこう・・・ね」 彼の構えを直し、自身も構えてみせるのは水色髪の彼女。 「えい!やぁ!」 「そうそう、上手だよフェイト」 彼、フェイトは一生懸命竹刀振るっている。 そんな彼の姿を見て、彼女、フェイトの姉チハヤは言った。 「フェイトは何でそんなに一生懸命なの?」 「だってオレ、強くなりたい!誰にも負けたくないから!姉ちゃんよりも!」 彼の輝いた瞳を見、そしてその言葉を聞いて、チハヤは思わずくすっと笑う。 15歳の彼女から聞いても、子供らしい幼い考え。 その答えにはこの質問をしなければならない。 「じゃあフェイトは、誰にも負けたくないのなら・・・・私もみんなも殺す?強くなるためなら、何だってする?」 殺られる前に殺る? 自分よりも強い者がいれば、自分が勝るまで戦って、殺す? 自分が強くなるというのならば、人の命を簡単に奪う? フェイトは、首を横に振って答えた。 「そんなことしない!人を殺すのはよくないことだし、悲しいことだし。強くなりたいけど、人殺しは嫌だ」 「そうだよね。 でも、時には人を殺さないといけない場合もあるかもしれない。フェイトはそのことをよく考えて修行しないとね」 戦争は終わっているが、“戦い”はまだ続いている。 あるいはいつかの仕返し、あるいは己の欲望で、人は“戦い”を始める。 「うん、オレ頑張る」 そう言って、また竹刀で降りはじめる。 本当に理解しているかどうかは分からないが、じきに理解してくれるだろう。 「じゃ、今日はここまでにしようか」 日が暮れているわけではないが、最初はこの程度でいいだろう。 しかしフェイトは竹刀を振るのを止めない。 「オレ、まだやってるから。姉ちゃんは行っていいよ」 「・・・・そう、頑張ってね。日が暮れる前には戻ってきなよ」 「うん」 いつまで付きっきりで教えられるか分からないけど、少しでも、フェイトが望む通りにしてあげたい。 それは軍からチハヤに要請が来る、2週間前の出来事・・・・ |
あとがき
短編のフェイトの過去ではあまりに展開が早いので、長編版を立ち上げました。
10歳の男子がこんなことを言うのかはさておき、これから少しずつ書いていこうかと思います。