果てない日

優しくされるのがきらいだった

ありもしないものに目をつむり
傷つくことには気のつかないふりをして
じょうずに嘘をつくあなたがきらいだった

知らないふりをするのには
お互いのことをわかりすぎたね
笑い方、遠くに投げられる視線
あなたがつく
きっと、最初で最後の嘘

本当だったらよかったのに
そうすればどんなに楽だったろうに

永遠の不在を理解して
いつか諦めるように受け止めて
それでも、それなのに、
裏切られることさえ忘れて
私はその先を見たいと思った

あなたの住んでいた白い家
城のような丘の下を流れる川の
そのせせらぎに、
あなたのいない街角に、
何度でもその影を見つける
探してしまう

傷つけてもいいよ
愛さなくてもいいよ
好きでなくなることはないから

ここで二人の旅は絶たれて
言葉だけで足りないものしか伝えることしかできなくて
つながりたいと願っても
平気なふりしかできない

最後に一度だけつないだ手がほどかれて
もう二度と出会うことがないこと
触れられないこと、
名前を呼べないこと
ずうっと名前を呼ばれていないこと

それなのに変わらずに空は蒼い
ひとびとはもっと優しい
傷口からとめどなくあふれる
この感情に、私はまだ名前を与えてやれない

終わりはないって信じていた日
ひかりはあるって信じていた日
触れようと試みて
何度でも拒絶されて
それでも私たちは
繰り返し
繰り返し、

汽笛に混じって
はばたきの色が消える
忘れたくないものがすこしずつ増えていき
私はやがて立ち止まることを厭わなくなる

むくわれなくとも、
気づかれなくとも


(090509)